小麦粉を乾煎りしています。右にふつふつと煮立っているのは、紅茶です。
さてはて、何のお料理でしょうか?
出来上がり・・・糊です。お稽古している、日本画の裏張り用の糊です。
日本では、プロの職人さんに頼みますが、ここでは自分でするしかありません。
描いた絵の裏にもう一枚、和紙を張り丈夫にします。試行錯誤を繰り返し、今の方法に落ち着きました。
紅茶を糊に混ぜると、さらに丈夫になり、色がつきます。
ロンドンのスーパーで売っている、安物の紅茶が最もきれいな色が出ます。次は日本の麦茶。これも安物のほうが色がよく出ます。
貼り付けたら、自然乾燥します。紙の質によって色が微妙に違います。
かつては、アルガルベ地方の植物図鑑を作りたいと張り切っていましたが、農薬のせいで野草が消えつつあります。まだ30種類ほどしか描けていません。残念なことです。
イザベルの野生のアイリスです。胡粉と膠の白い花びらの上に墨を巧みに流しています。
素晴らしい傑作です。日本画の手法にこだわりがないので、発想が自由で、時には驚くほどのできばえです。
白を生かすために、紅茶は使いませんでした。裏張りの紙は「榛原」の高級品です。