港のジャズバーの一人娘、ジュゼットは12歳。その甘えん坊が、暗がりの中、お客のテーブルを次々に廻っています。
手作りの布のアクセサリー、古い布を裂いて編んだ髪留めや、首飾りを作って売っているのです。お母さんのポルトガル人テレサは手先が器用で、血を引いたようです。お父さんはフランス人です。
後方にある真新しい自転車は、この夏の稼ぎで買ったものです。
彫刻家バレリーの娘、マノンも小さなノートにかいた絵を、ときどき見せてくれ「良かったら、買ってもいいのよ」と言ってくれます。60円ほど払うと、ノートをピリリと破いてくれるのです。貝に絵を描いたものもポケットにたくさん持っています。
ずいぶん前の話ですが、白鳥占いのベアトリスも25センチモで、お告げをしてくれました。
「素敵な王子様と出会い、海に浮かんだお城で暮らします・・・波があなたの元に素敵な詩を運んできてくれるでしょう・・・」そのお告げのおかげで、イザベルはしばらくの間、実に幸福でした。
それほど付き合いは多くありませんが、私の知る限りヨーロッパの子供たちは月ぎめの小遣いのようなものはないようです。家の手伝いとか、何らかの仕事をしてお駄賃を稼いでいるようです。
バザーなどで、お母さんの脇で使わなくなった玩具や絵本を並べている子供たちもいます。