朝、フェルナンダおばちゃんがピカピカに磨き上げた台所は、30分もするとこの有様・・・昼を食べさせ、会社に送りだし、一服して洗いものをしていると、もう、こだまさんが帰ってきて「晩飯は、なんだ・・・」と、問うのです。
夕食を作り、翌日、こだまさんが船の上で食べるお弁当を作ると、一日が終わってしまうのです。
ご飯を作ると、掃除が間に合わない、掃除をすると、洗濯ものが間に合わない・・・洗濯をすると・・・堂々めぐりです。
間に合わない女は、それでも毎朝、市場の見周りは欠かしません・・・きれいなピンクの魚の名前はガリーニャ・・・謎のロシアの大富豪と同じ名前です。
いままで、一体どうやって暮らしてきたのか思い出せません・・・とにかく、間に合わない・・・。
この長いものは・・・食欲がわかない・・・出汁はよく出るようですが・・・。
あ・・・可愛い・・・連れて帰りました。
もちろん、お頭は、ご主人さまに・・・しかし、頭に身はほとんどなかったようで・・・私の方にはたっぷり・・・白身の上品な味でした。、
まるで神隠し・・・物がなくなる超常現象は、二、三年前から起きています・・・。
間に合わない女・・・なぜか、花だけは、間に合う・・・。
我が家の超常現象は、このところ一段と激しさが増し・・・洗濯ものを干そうと思っていると・・・ない・・・しかし、夜になると、乾いた洗濯物が、きちんとたたまれベットに置いてあったりするのです・・・あぁ、恐ろしや・・・。
春の薔薇なのに、やけに香りの強い薔薇です・・・これも、超常現象の仕業でしょうか・・・。
間に合わない女は、まるでゼンマイ仕掛けの人形のように、突然、ぴたりと動きが止まってしまうことがよくあります・・・立っていることもできない・・・這うようにベットに行くのは、まだ明るい七時・・・などということもあり・・・翌朝、起きてみると・・・ギョッ・・・洗い物が山と積まれていた流しが、なにごともなかったかのようにきれいに片付き、私を迎えてくれることもあります・・・ぶるぶる・・・恐ろしいことでございます。