南ポルトガルの五月は、とても忙しかった・・・毎年、この季節になると庭のペンキ塗りが始まります。イザベルはこんな仕事が大好きでした。私と二人だけで、一日か二日かけて、色を付けた石灰 ? を塗ります。
乾く間に昼ご飯を食べて・・・
こんなふうにして・・・ちょっと昼寝をしてから、シャワーを浴びて、港に繰り出し、アニスを飲みました。
大きく茂ったアルファローバやオリーブ、アーモンドなどなど、枝の整理も今の時期にします。庭師のムッシュ・マヌエルがやってきて、大きなものは彼が伐り、あとは、ベネ、ドリーンがやってきて、女たちが残った枝を伐るのです。イザベルの家は女たちのなかではもっとも小さく、それでも千坪くらいはあったでしょうか。
ベネの家の草刈りや、木の整備も同様に、みんなが集まって仕事をします。広さは三千坪くらい ? 古い木が沢山あり、森のようです。
果樹園があるので、最も大きな敷地のあるドリーンの家は時間がかかります。これは、近所の農家の人たちも集まり、手伝ってくれます。仕事が終わると、刈り取った草や木を大きく積み上げ、火を焚いて食べたり飲んだりのパーティーも、楽しいものでした。
市場には、青いイチジクが出始めるころでしょうか・・・これは若いわけではなく、完熟しても青いのです。甘くならないうちは、こうしてサラダにしてよく食べたものです。
ムッシュ・マヌエルは、珍しく口数の少ない男で、女たちの頼りになっていました。フランスに長く出稼ぎに行っていたので、みんなの会話はフランス語でした。さっぱり分からないので、映画のなかに入り込んだような気分で過ごす不思議な時間でした。