マノンはもうすぐ四歳になる。
この年にして、彼女はフランス語、英語、ドイツ語、
そして、ポルトガル語を自由にあやつる。
この春、彼女は生まれてはじめてピクニックに
参加した。初対面にもかかわらず、マノンはフラ
ンス人にはフランス語で、イギリス人には英語、
ドイツ語圏のスイス人にはドイツ語、途中で寄った
カフェの同年代の子供にはポルトガル語で話し
かけるのであった。
さて、私たち日本人には、どう対応するのであろう
か・・・と、みんなが興味深々。
キャンディーをわたすと、彼女はちょっと首をかしげ
てから「サンキュー」といい、ママの後ろに隠れた。
通じたがどうか、心配であったらしい。
帰りがけ、彼女は家から持ってきたサイン入りの
きれいな貝がらを全員に配った。そして、私の耳元
で、こう囁いた。
「あなたには、一番大きいのをあげる……みんなには内緒よ」