こっちのイザベルは、夏の間中、文字通り"馬車馬"のようにではなく・・・そのものとして働き通しでした。しかし、文句を言うのを聞いたことがない・・・静かに自分の運命を受け入れています。禅馬・・・あるいは宮沢賢治・・・
観光客が多いときには、夜中の一時過ぎまで、足音が聞こえ・・・何頭かの馬のうちでイザベルがもっとも年上らしく、十時を過ぎると、蹄の音が変わってきます。寝ていても、その重たい足取りで「あ、イザベルだ、疲れてるなぁ・・・」と、気がかりでした。夏が終わってよかったぁ・・・どこに出かけても、馬車なんかに絶対乗らないわ・・・と、決心しています。
さて・・・あちらのイザベル・・・なにやら忙しそう・・・はい、実は、彼女が来た翌日に親しい友人に大変なことが起きました。事件をきっかけに、大きく人生が変わるほどの事件・・・新聞の一面を飾るほどの出来事でした・・・
私たちが、最後のバカンスを楽しめなかった本当の理由は天候ばかりではなく、この事件が大きかったのです。そして、イザベルは、決心した。バカンスの予定を全てキャンセル・・・友達を助けることにしたのです。
「ミツコ・・・なにもない人生より、悲惨でもなんかあった方がマシだと思わない ? これがチャンスに変わることもあるのよ。私はそうだったわ !」そう宣言して、イザは彼女の家に向かったのです ! ひぇ〜カッコいいじゃないか・・・暴れ馬だ・・・私も、明日向かいます。
しかし、人生って・・・いくつになっても、なにがあるか分からないものです。